第一課
A ~とき、~と言います
この「言う」は単に「話す」という意味ではないく、「表す、表現する」の意味」。併せて「V-た
とき」と、比況の「ようだ」も復習する。
ここでは自由に練習作文をするよりも、「雪のようだ」「石のようだ」「足が棒のようだ」「もみ
じのようだ」のように表現として固定化されたものにとどめたほうがよいだろう。
B たとえ「X」~ても /でも、「Y」とは思えない
「もし「X」をすれば、「Y」になるだろうか」という疑問が前提となって、いや、「X」をして
も結果は変わらないだろうと言う文。いわゆる逆接の仮定条件。併せて、「あまり/それほど~な
い」の復習をする。
C ~のなかで「N」ほど~もの|ことはない
「Nがいちばん~だ」という意味。「と思う」「でしょう」をつけることより、「自分の考えで
は」という意を添える。
「(私には)世界の言葉の中で日本語ほど難しいものはありません」
*「ほど」は「くらい」と置き換え可能。
*「ほど」の整理
1 10分ほどのとこるにある(くらい)
2 猫の額ほどの庭(同じ程度)
忙しくて猫のても借りたいほどだ
3 考えれば考えるほどこわくなる(程度の変化)
第二課
A 「V(辞書形)ことにした」
「主体の意志で決めた」という意味。初級の学習事項だが、ここで復習。「来週、来年」など未
来を表す副詞が用いられているが意志はすでに決定したという意味で文末は過去で練習。
B ~ようです
第一課「A」で練習した比況の「よう」。ここでは「冷たく氷のようだ」のような決まった言い
方だけではなく、「自分には~と感じられる」という意味で、それぞれの感じ方によって、かな
り自由な言葉が選択できる。
「母のようにやさしいです」と「母にあったようで、元気になります」のちがい
Xさんはどんなひとですかー母のようにやさしいです。(やさしさの説明)
Xさんに会うとどんな気持ちになりますか。ー>(私は)母にあったように感じます。
それで元気になります。
黒い服はお葬式の服のようで、あまりよくないです。
ー>(私は)お葬式のように感じます。それでようくないと思います。
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第三課
A 「いA|なA」がっている
い形容詞、な形容詞を動詞にして、感情を客観的に表す言い方。初級の復習事項。第三者の感
情を外側から見て判断するときに多く用いられる。復習事項なので、「よく~ている」、「これ」で
前文を受ける用法、「(いつも)~すると(一般条件)、~」と併せた復習練習にしてある。
*ほしがる|V~たがる も練習するとよい
*な形容詞で「がる」がつくものは限られている
例:不思議がる\いやがる\残念がる\不安がる\
B V~ようにしている
「努力して~する」の意。動詞の辞書形、ない形につく。「習慣的に~している」の意味で文末
を「~ている」として練習する。
* 動詞は意志動詞に限る。「水が流れる」「火が消える」などの無意志動詞の場合は「そのような
状態に変える」の意味になる。
* 「ことにしている」は習慣。「ようにしている」は「努力して」「できるだけ」の意味。
* 「よう」の整理は第16課。
C 「N\文」なんて
「なんて」の整理
1 ジュースなんてどうですか。(など)
2 どこかへ行きたいねなんて言ってます。(などと)
3 お金なんていらない。(たいした物ではないと軽視する)
「辞書をつかいなさい」「辞書なんて役に立ちません」のように、相手の言葉をとらえて、そ
れを打ち消す場合に使われることが多い。
3だけではなく、12にも程度の差はあっても、たいした事ではないという意味が含まてお
り、本文の「「お父さんがいないと楽でいい」なんて言っていましたは、2か3か、意見の分かれる
ところである。
練習は3の用法のなかでも、相手の言葉をとらえてそれを強く打ち消す用法を練習し、「なんて」
に含まれる価値評価をとらえる。
* 練習の答えは一つではなく、例えば一番は「雨なんて、雨が降るなんて、傘なんて」のように
いろいろ答えられる。すべて可。
D 「N\文」とか、「N\文」とか
同じような例を二つ以上あげるときに使う。意味は「~や~など」と同じ。口語体で、「や」よりやや
やわらかい言い方。
* 中級になっても「と」「や」「たり」「し」の使い分けには間違いが多い。「と、や」は名詞をつ
なぐ助詞で、文をつなぐことはできない。ところが、この「とか」は文もつなぐことができる。
したがって練習問題は「や」では言い換えられないものが多い。
第四課
A XがYに/をV-せる、させる
使役の復習、使役は第3課本文にも出ているが、ここで再度練習として取り上げ、定着をはか
る、まず
1 使役形の作り
2 行為者はYであること。
3 行為者を表す助詞は一般的には、他動詞文では「に」、自動詞文では「を」をとる。という
123を確認してから練習に入ると分かりやすい。
* ここではこの2つの練習にとどめてあるが、本文の「お酒の匂いをさせる」は「匂いがする」
に対応する他動詞表現としての「させる」である。A-1、A-2と異なり、行為を行うのは人間
ではない。特に「「人」が「その体の一部分」を~させる」という形が多いが、動作主が人間で
はないものは、他に「美しい花を咲かせる」「食べ物を腐らせる」のような例もある。
例:目を光らせる、足をぶらぶらさせる、指をからませる、胸をどきどきさせる、髪をなびかせる
この課では使役形の定着を目的として、本文は理解にとどめる。
* 「させられる」という使役受身は第7課で復習。
B V~たばかりだ
「動作が完了して間がない」の意。よく「V~たところだ」(第12課)と比較されるが、「とこ
ろ」は話者のそのときの客観的な状況。「ばかり」はその出来事が起こってからの実際の時間が短い
かどうかは問題ではなく、話者が主観的に間もないと感じる場合にも用いられる。
例:先月生まれたばかりで、まだ首がすわらない。/X先月うまれたところです。
電話で「今、生まれたところです。親子ともに元気です」
* 「ばかり」の他の用法
1 テレビばかり見ている。見てばかりいる。(だけ)
2 色ばかりではなくデザインにも区別がある。
3 15分ばかりの所に住んでいる。(くらい)。。。。第19課
C V/いA/なA-てたまらない
「うれしい、苦しい、暑い、心配、不思議、いや、疲れる、腹が立つ」のように心理状態を表す
語を受けて、その程度が非常に大きいことを表す。「~て仕方がない」「~てならない」と同じだ
が、「たまらない」は「思う、感じる、気がする」などの自発を表す動詞のあとにはつけられない。
(思えてならない)はしきりに思うという意味だが、(「思えてたまらない、」は我慢できないという
意味)
D~と聞いていた
過去のことを現在から眺める一種の経験を表す。あえて説明しなくてもよいが、「聞いた」とは
異なることが体得できればよい。同じような例で第3課本文には「「お父さんがいない方が楽でい
い」なんて言っていました」がある。
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第五課
A ~ものだ
強調のためにつく。
B ~のは当たり前だ
名詞節を作る「こと、の」どちらを使うかが間違いやすい。この段階では
1 一般的に「ことができる、ことがある、ことにする」など助動詞化しているものは「の」
には変わらない。
2 「~は。。。だ」の構文で、X.Yのいずれが体語化されたものであるとき、Yには「こ
と」は使えるが「の」は使えない。
3 強調構文「~のは~だ」は常に「の」
以上の3点を押さえておければよいだろう
C V~てみると、~た
条件節を作る「と」には「~と、いつも~」「もし~と、自然に~」「してすぐ」のようにいろ
いろな用法があるが、ここでは「~すると、~ということがわかった」という発見の「と」の用
法である。後者は状態性の用言の過去(かこ)。この用法の場合、前者の動詞に「~てみる」が
つくことが多い。ここでは「思っていたより」をつけて、予想に反して~ということがわかった、
という意味を強調している。
* 第1課<書きましょう>の「~たら~た」も同じ用法。
D どうしたら~か
疑問詞に「か」をつけて名詞節を作るのは案外難しく、定着が悪いのでここで復習する。「どう
したら~かと聞いてみる」の「と」は省略(しょうりゃく)可能。また「どうしたら、どうすれ
ば、どのようにしたら」という方法、手段を表す疑問詞の定着も、重要復習事項。
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第6課
A V~てきた
時間的、空間的に動作、状態が話者の方へむかってくるということを表現する。ここでは、時間
的に現時点まで。「~を続けてきた」「~という状態が続いている」ということを表す練習。尚、
これに対置される表現が「~て行く」であるが、練習の五番がそれである。
B Nまで~
一般的、常識的に考えられる範囲の一番端という思われるものを例えに出し、それ以外の物も全
部そうだという意味を強調する言い方。「食べるものがなくて、木の根まで食べた」。「までも
」と「も」を重ねることもできる。
C X(N/文)といっても、~
Xが一般的に持っているイメージと現実が随分違っているという意味。ここでの練習は「ずいぶん
待ったそうです」「まったといういっても、10分ぐらいのものでしたよ」のように、聞き手が
相手の言葉を受けて、話している事柄は相手の持つイメージとずれがあるという意味の文が続く。
*第19課D「もっとも~といっても」の練習は、相手の言葉を引き取っていうのではなく、自分
の話したことから生まれるイメージを修正する用法。
D もしかすると、~のかもしれません
初級文型「かもしれません」の復習。「もしかすると(もしかしたら)」は、「かもしれない」
「でしょう」などと結び付いて、推量の表現を形作る。副詞を文のはじめにつけて、文末を予想
されるという日本語の特性に気が付くのには良い練習。復習だけでもあとに続く言葉が予想でき
るので、文末省略(しょうりゃく)も可能なことにも触れておくとよい。この「もしかすると」
をつけると、「かもしれない」だけよりも、可能性の程度が低くなり、それだけ、話者の確信の
低さを表す。
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第七課
A つもり
「そのような気持ちになって、~と考えて」という意味。「気持ち、考え」の意味。
A-1 (N~の/V~た)つもりで/つもりになって
「実際はそうではないのに、そうしたような気持ちになって、他のことを行う」の意。一文で
「コーヒーを飲んだつもりです」では分かりにくいので、「コーヒーを飲んだつもりで特急電
車に乗る」のように、実際に行う事柄もはっきり表して練習する。
A-2 (自分では)~つもりだ
他の人にそう受け取られるかどうかはわからないが、自分では~という気持ちであるという意
味。往々にして行為者の思い込みであることが多い。
*第十七課「人間は一人一人違うということは分かったいるつもりである」
B V~させられる(使役受身)
五段動詞は「V~せられる、される」の二つの形がある。ただし、「話す、消す」のような、
さ段の動詞は「せられる」だけ。
B-1 他から動作を強制される意を表す
「飲む」も「飲まされる」も、いずれも主体の動作であるが、「飲まされる」は自分の意志
ではない、という被害の意味が含まれる。
例え:「シンデレラは朝から晩まで働かされました」
B-2感情を動かされるという意味
「その話、ニュース」などの情動を引き起こす要因の存在がはっきり分かるような練習をすと
よい。
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第八課
A ところで~といえば
「~といえば」は、前の話に出てきた言葉がもとのなって思い出されたことを、新しく話題にする
場合に用いられる表現だ。ここでは、話題を変える接続(せつぞく)詞「ところで」と一緒に練習
する。
例え「今度留学するんですよ」「海外で勉強するといえば、。。。。」
このように必ずしも相手の言った言葉をそのまま繰り返すのではなく、それに関連して浮かんだ事
柄を取り上げることもできる。
B X~ば、それでけで~
「Xだけをすれば十分で、他の事は必要ない」という意味。第25課「Xさえ~ば」と同じ限定条件。
C いくら~でも、~ば~
「いくらXでも、Yば~」という形は(有る目的、目標に向かってXを満ちたそうと精一杯努力しても
、Yが伴わなければお願いは成就(じょう‐じゅ)しない)という気持ちを表す。文末は、「なんに
もならない」「仕方ない」「意味がない」等、成就できないという趣旨の表現になる。
D「V/いA/N/NAである」と同時に~
1 最後の一人が乗り込むと同時に発車した。(同じ時に)
2 学生であると同時に社会の一員でもある。(その上)
3 息子の結婚はうれしいと同時に寂しいものだ。(一方で)
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第9課
A せっかく
「苦労してやったのに、それが無駄になり、残念だ」というときに用いられる。
B どうしても、V~(よ)うとしない
1 どうしても
I どんな方法をつかっても、どのように考えても。後ろに「~ない」、または否定
的な意味が来る。例:どうしても分からない。
II ぜひ、必ず。例:どうしても行きたい。
ここでは1の否定と呼応(こおう)する用法である。
2 V~(よ)うとしない
「~しなさいといっても、決して~しない/~をしょうという意志を持たない/~した
らよいという周囲(しゅうい)の期待、要請を拒否(きょひ)する」という意味。一
人称の行為についてはあまり用いられない。
C V~たものだ
そうなることが以前によくあったと過去を回想して述べるときに用いられる。「昔は
、学生時代は、子供のころは」のように過去を表すとともに練習するとわかりやすい。
D ように思う
「と思う」よりも、はっきりしない。実際に記憶があいまいな場合にも用いるが、断
定を避け、遠回しに言うことによって丁寧さを表している場合もある。
また、ここでの練習は「。。。。ですが」と「が」をつけて練習している。「はっき
り分かりません」「はっきりした返事ができず、申し訳ありません」のような含みを
もたせ、丁寧さを表す。
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